「洋楽」をリスニング対策に効果的に取り入れる方法と最適な曲5選

音楽は好きですか?

楽しいとき、嬉しいときに聞いた歌。

すこし落ち込んだ時に、元気をもらった歌。

ふとしたときに思い出す歌ってありますよね。

音楽は記憶に結び付きやすく、同じ風景を観たら「思わず、忘れていたはずの歌を口ずさんでいた」なんてことも。

そう。音楽は記憶に結びつく!

その効果を取り入れて、楽しみながら英語力をアップできる方法をご紹介します。

2021年9月1日

1.「音楽」を英語の勉強に取り入れることの効果

音楽、特に洋楽は、英語の勉強にうってつけです。

洋楽は文字通り、西洋で生まれた音楽。

音楽には、そこで暮らす人たちの言葉や文化が色濃く反映されていますよね。

そのため、洋楽には、

ご当地の「日常的な話し言葉」が使われている

そこで、英語の勉強に取り入れれば、生きた表現力が身につくというわけです。

2.英語の勉強に取り入れやすい「音楽」の種類

ここからは、実際に英語の勉強に取り入れやすい「音楽の種類」について見ていきましょう。

洋楽にはさまざまなジャンルがありますが、なかでも、英語の勉強には、「ポップス」や「ジャズ」が向いていると言われています。

たとえば、

ポップス

「ポップス」は、ポップ・ミュージックやポピュラー・ミュージックの略称で、ロックから派生したとされる音楽ジャンル。

ポップスの歌詞には、

日常的な話し言葉を使って、歌詞がつづられている

そういった特徴があります。

ロック

一方、「ロック」は

英語のリズムを身につけるのに向いている

と言われていますが、標準的な「言葉」の勉強には、あまり向きません

なぜかと言えば、ロックには

スラングや隠語*が多用され、超現実的な世界観が表現されている

ことが多いため。

*スラングや隠語とは、 特定の集団内で使われる言葉

たとえば、一昨年大ヒットしたクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ:Bohemian Rhapsody」

美しく奏でられたメロディと、フレディをはじめとするメンバーの圧倒的な歌唱力で聞く人を魅了し続けています。

さきほどのロックの特徴で言うと、そこに描かれているのは「超現実的な世界観」です。

個人的には、ロックもとても好きですが、このように「英語の勉強」という主旨からはすこし外れるので、ここでは、ポップスを中心に話をすすめたいと思います。

そして、もうひとつのジャンルが、

ジャズ

「ジャズ」は、アメリカのルイジアナ州ニューオーリンズで、

ブルースやラグタイム(リズミカルなピアノ音楽)をルーツとして生まれた音楽ジャンル。

なかでも、ボーカルが入ったものは、

英語詩が曲に載りやすいのが特長

です。

そのため、実は、英語のリズムがもっとも身につくのは、ジャズと言われています。

しかし、

ジャズ・シンガーのボーカルの載せ方は、同じ曲でも十人十色

歌い方が一定ではなく、それが魅力とされるところでもありますよね。

そこで、このページでは、ジャズ・ポップと呼ばれるポップス寄りの曲をご紹介します。

3.「洋楽」を英語の勉強に取り入れる方法

では、具体的に洋楽を英語の勉強に取り入れるには、どうすれば良いでしょうか?

せっかく洋楽を取り入れるなら、楽しく取り組みたいですよね。

そこで、つぎのステップですすめてみてはいかがでしょうか?

洋楽を英語の勉強に取り入れる方法は、

  1. 目的に合った曲を選ぶ
  2. 曲に耳が馴染むまで何回か聞く
  3. 歌詞を書き出してみる
  4. 歌詞を比較して見ながら聞く
  5. 間違っていた箇所を修正する
  6. 歌詞の意味を理解する
  7. 曲に合わせて歌ってみる

この順番です。

では、ひとつずつ詳しく説明します。

1)目的に合った曲を選ぶ

1つ目は、

目的に合った曲を選ぶ

ここでは、「英語を勉強する」という目的にかなったものから、好きな曲を選びます。

このとき、「好き」を優先させて、

目的から大きく離れた曲を選んでしまうと、勉強の効率が落ちる

ことがあります。

そこで、つぎの「学習の要素」を満たす曲を選ぶと良いと思います。

学習の要素:

  • 標準的な話し言葉が使われている
  • スラングや隠語がない、または少ない
  • バラードなど、比較的ゆっくり目の曲

(慣れてきたら、アップテンポの曲も〇)

  • 英語の歌詞を確認できる

この4つ。

つぎは、手順の2番です。

2)曲に耳が馴染むまで何回か聞く

2つ目は、「曲に耳が馴染むまで何回か聞く」

言語の習得には、「言葉」だけでなく、

「音」と「リズム」が重要な役割を果たす

と考えられています。

そこで、曲を選んだら、その曲が耳に馴染むまで何度か聞きます。

3)歌詞を書き出してみる

3つ目は、「自分で聞き取った歌詞を書き出してみる」

曲が耳に馴染んできたら、

自分で聞き取った歌詞を、冒頭から書き出してみる

いきなり、そんなことを言われても、最初はうまくいかないかもしれません。

しかし、焦る必要はまったくありません。

少しずつで大丈夫なので、順番に書き出してみましょう。

この方法は「ディクテーション」と言いますが、

英語力を高めるのにとても良いトレーニング法です。

(ディクテーションについて、詳しくはこちら

4)歌詞を比較して見ながら聞く

4つ目は、「歌詞を比較して見ながら聞く」です。

歌詞をすべて書き出したら、つぎは、実際の歌詞を見ながら聞きます。

ここでは、書き出した歌詞と見比べながら、

「こう言っていたのか」と気づく

ことが重要です。

5)間違っていた箇所を修正する

5つ目は、「書き出した歌詞の間違っていた箇所を修正する」

4番で「こう言っていたのか」と気づいた箇所を修正します。

この練習を何曲か続けていくと、

間違いやすい(聞き取りにくい)言葉や表現の傾向が見えてくる

そういった効果が期待できます。

つぎは、手順の6番です。

6)歌詞の意味を理解する

6つ目は、「歌詞の意味を理解する」です。

ここで重要なことは、

英語の意味を理解する

こと。

よく起こりがちなのが、

歌詞を書き出して、修正したら終わりにしてしまう

というケース。

ここで終わってしまっては、効果半減です。

もうひとふんばり、「歌詞の意味を理解する」ところまで頑張りましょう。

理解できない箇所は、

  • 歌詞の和訳を見る
  • 辞書や文法書で調べる

などの方法でクリアにしておきましょう。

7)ボーカルに合わせて歌ってみる

最後は、「ボーカルに合わせて歌ってみる」です。

書き出した歌詞の修正が終わって、意味がわかったら、ボーカルに合わせて歌ってみましょう。

ここで重要なのは、

歌詞を曲のリズムに載せて歌うこと

手順の2番で見てきた「音」と「リズム」を、ここで「言葉」とひとつにします。

「私って、なんて上手なの?」と納得できるところまで、歌い込みましょう(^^)

つぎでは、具体的に洋楽を取り入れてみます。

4.「洋楽」を英語の勉強に取り入れる:実践編

ここからは、「洋楽を英語の勉強に取り入れる」実践編です。

では、実際の曲を使ってやってみましょう。

さきほどの手順は、つぎの1~7番でした。

1.目的に合った曲を選ぶ

2.曲に耳が馴染むまで何回か聞く

3.歌詞を書き出してみる

4.歌詞を比較して見ながら聞く

5.間違っていた箇所を修正する

6.歌詞の意味を理解する

7.ボーカルに合わせて歌ってみる

1番で選んだ曲は、

For All We Know  (邦題は「ふたりの誓い」)

カーペンターズの曲です。

では、大きく3つのポイントを中心に説明します。

2番で曲を聞いていると仮定して、

3)歌詞を書き出してみる

まず、歌詞を書き出してみます。

その際、聞こえた通りに、

チャンクと呼ばれる「意味の塊」ごとに

書き出します。

そして、

書き終わった箇所に、スラッシュ [ / ] を

入れます。

この方法は、「ディクテーション」と言います。

では、やってみます。

歌詞の「ディクテーション」

「For All We Know」

Love,/ look at the two of us/

Strangers/ in many ways/

We’ve got a lifetime (/) to share/

So much to say/ and as we go/ from day to day/

I’ll feel you close to me/

But time/ alone will tell/

Let’s take a lifetime (/) to say/

I knew you well/

For only time/ will tell us so/

And love may grow/ for all we know/

[(/)としている箇所は、ごく弱い息継ぎ ]

文章の「スラッシュリーディング」

これとは順序が逆の「スラッシュリーディング*」は、

目印として、息継ぎをする位置にスラッシュを入れていく

方法です。

*スラッシュリーディングとは、文章を読みながら、区切りのいいところにスラッシュ[ / ]を入れ、文章全体に[ / ]が入ったら、[ / ]ごとに軽く区切りながら音読する方法。

(スラッシュリーディングについて、詳しくはこちら

一方、

上のような、歌詞の「ディクテーション」では、

音のつながりに注目して

無理にスラッシュは入れないようにします。

その後、

4番の「歌詞を見ながら聞く」

5番の「間違っていた箇所を修正する」

この2つの行程が終わったら、つぎは、

6)歌詞の意味を理解する

「歌詞の意味を理解する」方法です。

さきほど、

スラッシュを入れた位置(チャンク:意味の塊)ごとに

訳を付けていきます。

では、やってみましょう。

「チャンク」ごとの訳付け

Love, / look at the two of us/

いとしい人/私たち二人を見て/

Strangers/ in many ways/

他人同士/いろんな意味で/

We’ve got a lifetime (/) to share/

私たちには人生がある/分かち合うための/

So much to say/ and as we go/ from day to day/

言いたいことはたくさんある/日々を過ごしていけば/

I’ll feel you close to me/

あなたを近くに感じることでしょう/

But time/ alone will tell/

だけど、時間/だけが教えてくれるはず/

Let’s take a lifetime (/) to say/

生涯をかけましょう/そう言うために/

I knew you well/

私にはあなたのことがよくわかっていたと/

For only time/ will tell us so/

時間だけが/そう教えてくれるはず/

And love may grow/ for all we know/

そして愛は育つはず/分かっているのはただそれだけ/

上の訳は、日本語の順番とは異なっているため、はじめは違和感を覚えるかもしれません。

しかし、英語を英語の順番で理解するために、ぜひ取り入れたい練習法です。

6番まで終わったら、

7)ボーカルに合わせて歌ってみる

1~6まで終わったら、ボーカルに合わせて歌ってみましょう。

この段階では、英語の詩とその意味がわかっているので、

できるだけ情感を込めて、ボーカルの発音を真似てみる

ぜひ、この方法で歌ってみましょう。

これで、歌詞のなかで覚えた表現が、曲とともに記憶に定着します。

この方法で強化できること

1~7の順番で強化できるのは、

  • 文章を頭から理解する
  • 意味をチャンクごとに理解する
  • 発音を矯正する
  • 記憶を保持する

この4つです。

実はこれ、TOEIC対策にもとても有効なトレーニング法です。

では、このトレーニングに最適な曲をいくつかご紹介します。

5.「洋楽」で英語を勉強するときのおすすめの曲5選

ここからは、「洋楽で英語を勉強するとき」のおすすめの曲が収録された人気アルバムをご紹介します。

1つ目は、

「Gold – Greatest Hits 」

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アルバム「GOLD] には、このページでご紹介した「For All We Know」をはじめとする名曲の数々が収録されています。

カーペンターズは、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身の兄妹デュオ。

曲の美しい旋律、妹カレンの類まれな歌とハーモニーは、カレンの没後40年近く経った今も世界中の人々に愛され続けています。

英語のプロと呼ばれる人たちのほとんどが、英語を習得する過程で『カーペンターズ』の曲を取り入れたと言う逸話もあるぐらい、きれいな英語のお手本のようなユニットです。

「It’s Time」

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このアルバムに入っている「Home」は、本日のテーマの「目的に合った一曲」としておすすめです。

マイケル・ブーブレ はカナダ・ブリティッシュコロンビア州出身。

ジャズ・ポップと呼ばれるジャンルのアーティストです。

あのフランク・シナトラの再来とも言われている実力派シンガー。

このアルバムではありませんが、

彼のアルバム『クリスマス』は、Billboard 200アルバムチャートで1位に輝いています。

つぎは、ブルーノ・マーズ。

「24K Magic」

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アルバム「24K Magic」からは、「Too good to say goodbye」が「目的に合った一曲」 としておすすめです。

ブルーノ・マーズは、アメリカ・ハワイ州ホノルル出身のアーティスト。

あのマイケル・ジャクソンの再来とも言われています。

グラミー賞受賞歴はなんと11回。

「一晩で最も多くのグラミー賞を獲得」 したアーティストとして有名です。

「ADELE 21」

アデルはイギリス・ロンドン出身のアーティスト。

このアルバムには、

「ローリング・イン・ザ・ディープ:Rolling in the Deep」

「サムワン・ライク・ユー:Someone like You」

「セット・ファイヤー・トゥ・ザ・レイン:Set Fire to the Rain」

と全米ナンバー1シングルが3曲も収録されています。

なかでも「Rolling in the Deep」は、「目的に合った一曲」としてもおすすめ。

同じくイギリス出身の故エイミー・ワインハウス*を彷彿とさせるような歌唱法のカッコいい楽曲です。

このアルバムだけで全世界セールス3000万枚を突破。

アデルは、グラミー賞を15回も受賞しているというから驚きです。

*エイミー・ワインハウス:2011年に惜しまれながら早世した伝説のアーティスト

さらに、

さきほど「Bohemian Rhapsody」のところでご紹介したクイーンつながりでは、

クイーンの楽曲「Radio GaGa」から芸名を決めたというレディ・ガガの

「A STAR IS BORN」      

なかでも「Shallow」は、映画で共演した俳優ブラッドリー・クーパーとの美しいデュエット・ソングで、おすすめです。

その他の曲も、レディ・ガガの歌のうまさを堪能できるアルバムだと思います。

映画 「A star is born」 は偶然にも、映画「Bohemian Rhapsody」と同年に大ヒットしています。

6.まとめ

いかがでしたか?

洋楽を英語の勉強に取り入れる方法は、

  1. 目的に合った曲を選ぶ
  2. 曲に耳が馴染むまで何回か聞く
  3. 歌詞を書き出してみる
  4. 歌詞を比較して見ながら聞く
  5. 間違っていた箇所を修正する
  6. 歌詞の意味を理解する
  7. 曲に合わせて歌ってみる

この7つのステップ。

「学習の要素」を満たすのは、

  • 標準的な話し言葉が使われている
  • スラングや隠語がない、または少ない
  • バラードなど、比較的ゆっくり目の曲
  • 英語の歌詞を確認できる

この4つの条件をクリアしている曲です。

「目的」に合っていて、好きな楽曲を、ぜひ英語の勉強に取り入れてみてくださいね。