TOEICに「英文解釈」は必要でしょうか?
TOEICは、「ビジネスにフォーカスをあてたコミュニケーション英語能力テスト」
一見、「英文解釈」は必要なさそうです・・・
しかし、実際はどうなのか気になるところ。
そこで、このページでは、その真偽に迫りつつ、
TOEICのリーディング問題を効率的に読み進めて、高得点もねらえる方法を紹介します。
英文解釈:英文の文章構造を素早く見抜いて、その英文の意味を正しく理解すること。
一般には、精読+和訳により、英文の内容が正確に理解できているかを判断します。
1.TOEICにおける「英文解釈」
TOEICテストで「英文解釈」が必要なパートがあるとすれば、
Part7:長文読解問題
では、パート7にはどんな特徴があるのでしょうか?
TOEIC Part7の特徴
TOEIC Part7の設問の形式から見ていきましょう。
設問の数 | 設問の内容 |
54問 (1つの文書:29問 複数の文書:25問) | 1~3つの文書を読み、各設問に対する最も適切な解答を4つの選択肢から選ぶ問題 |
ここで、Part7の解答にあてられる時間を見てみると、
TOEICのリーディングに割り当てられている75分のうち、55分前後
つまり、
1問あたりでは約1分が解答時間になります。
TOEIC Part7の内容
では、Part7の長文読解問題は、どんな内容なのでしょうか。
長文読解というと、一般に「英文解釈」が必要と考えられています。
では、英文解釈が必要な文章はというと、
長文のエッセイや論評
など。
一方、
TOEICの「長文読解問題」は、 ビジネス関連の文書がほとんど。
そこまで複雑な文章は登場しません。
どういうことかと言うと、
ビジネスで使われる文書や表現は、簡潔明瞭でなければならない
という前提があるのです。
たとえば、
あなたが、海外事業部で仕事をしているとして、
月曜日の朝、パソコンを開いてEメールを確認すると、30通の英文メールが入っていたとします。
その文章の一つひとつが長文で、
やたらと凝った文章だったり、複雑で読解に時間を要するものだったとしたらどうでしょう?
全てのメールを読み解くだけで、午前中が終わってしまうなんてことにもなりかねません。
ビジネスはスピードが勝負。
そんな時間はありませんよね。
つまり、
Part7に登場する文書は、
業務上のEメールのやり取りや業務に関する書類
がメインになっています。
具体的には、つぎのような文書になります。
TOEIC Part7の文書の種類
Part7の文書の例を少しあげると、
文書の種類(抜粋) | |
advertisement | 広告 |
announcement | お知らせ |
Eメール | |
instructions | 指示書、取扱い説明書 |
invoice | インボイス、送り状、請求明細書 |
online chat discussion | オンラインチャットでの話し合い |
press release | プレスリリース |
tracking information | (荷物などの)追跡情報 |
など。
先ほどの例にもありましたが、
忙しいビジネスの場では、複雑な文書のやり取りはご法度。
そこで、法律関係の文書を除き、
ビジネス関連文書は、読みやすいことが絶対条件
では、こういった文書を解釈するためには、具体的にどんな取り組みが必要でしょうか?
2.TOEICの「英文解釈」への取り組み方
ここからは、TOEICの英文解釈にどのように取り組めばよいかを見ていきましょう。
でも、その前に、
他の試験の「英文解釈」との違いについて確認しておきましょう。
他試験の「英文解釈」との比較
英文解釈といえば、
いったん日本語に置き換えて理解する方法
がスタンダード。
たとえば、
あなたがこれから「TOEIC」ではなく、「大学入試」や「英検」を受けるのであれば、この「英文解釈」の方法は絶対です。
なぜなら、読解問題の多くは、
長文のエッセイや論評
で構成されているため。
しかし、
TOEICのPart7は、
1問あたり約1分で問題文と設問を読み、解答まで終える
「ビジネス知識」と「瞬発力」が求められるパート。
問題文は、普通に時間をかければ読み解けるものばかりですが、
重要なのは、
短時間で多くの文書を処理できる能力
教養の程度を測るための「大学入試」や、
英語と日本語の間を行き交う能力が試される 「英検」とは、
そもそもの主旨が異なります。
では、TOEICの「英文解釈」とはどのようなものなのでしょうか?
TOEICの「英文解釈」
TOEICの「英文解釈」は、
英文を英文のまま理解する
こと。
ここまで見てきたように、
Part7の「長文読解問題」は時間との勝負
問題の内容を日本語に置き換えている時間はありません。
そこで、問題を英文のまま理解して、解答を進めることに慣れる必要があります。
英語を英語のまま理解するとは、
たとえば、
「glass」と聞いて「コップ」と答えるのではなく、頭の中で 「ガラスの器」 をイメージできること。
文章も同じで、
意味のかたまり(チャンク)ごとに、その和訳ではなく、英語のままイメージできるということです。
一方、
簡潔明瞭なビジネス文書がメインのPart7ですが、
TOEICの「長文読解問題」は、
しっかり内容を理解できていないと答えられない
というのも事実。
実際、Part7の長文問題はいくつかのタイプに分かれていて、それぞれの読み方にはコツがあります。
( Part7の長文問題のタイプについては、次の章で説明します。)
そこで、順番としては、
- 基礎英単語
- 基礎英文法
の勉強が一通り終わっていて、一読で英文の意味をある程度把握できる段階で取り入れると効果的です。
では、TOEICの「英文解釈」法について見ていきましょう。
3.TOEICの「英文解釈」法
TOEICの英文解釈には、どんな方法があるでしょうか?
おすすめは、
精読+速読
この2つ、一見、相反するように見えますが、実はセットにすることで効果が倍増します。
どういうことかと言うと、
英語の読解力は、一般に英文を読む速さと比例する
ため、早く読めるようになると、それにともなって正解率も上がっていきます。
(基礎力にまだ不安があるときは、後述する勉強法から試してみられることをおすすめします。)
では、やり方です。
TOEIC Part7の「英文解釈」法
TOEIC Part7の「英文解釈」の具体的な方法です。
Part7の問題の音声が聞ける問題集を一冊、用意します。
Part7の問題文をひとつ選びます。
つぎの順番で問題を音読 → 黙読します。
- 英文の内容を把握しながら音読する
- 音読し終わったところで、設問を解いてみる
- 答え合わせをして、どの程度、理解できていたかを確認する
(和訳がついているので、ここで意味を確認) - つぎに、音声にあわせて同じ問題を音読する
(自分が音読したときとの「音」の違いを確認) - その後、何回か、音声にあわせて音読する
- 慣れてきたら、少し速度をあげて音読する
- 最後に、#6と同じ速度で問題文を黙読する
(その際、もう一度ポイントを抑えながら読み進める)
この方法で文章を読む練習をすることで、内容を把握しながら早く読めるようになります。
TOEIC Part7の「長文問題」のタイプ
さきほど少し触れましたが、
Part7の「長文問題」はつぎのようにいくつかのタイプに分かれています。
- シングル・パッセージ(1つの文書)
- ダブル・パッセージ (2つの文書)
- トリプル・パッセージ(3つの文書)
さらに、それぞれの文書(問題文)は、
・ ひとつのテーマにそって書かれた文章
・ レターや社内メールなどの業務文書
・ ニュースやプレスリリースなどの広報文書
・ 取扱説明書や保証書などの定型文書
・ 表やリストを組み合わせた文章
などで構成されています。
そこで、タイプ別に読み方のコツをつかんでから、速読の練習をしておくと本番でも落ち着いて問題にとり組むことができると思います。
実際の試験対策*では、
設問を1つ読んでから、本文を読み始める
など、すこし順番が変わりますが、
上の方法は、
Part7の英文を英文のまま理解する
練習になりますので、ぜひチャレンジしてみてください。
4.TOEICの「英文解釈」のための参考書・問題集
ここからは、TOEICの「英文解釈」のための参考書・問題集を紹介します。
TOEICの問題には特有のスタイルがあるため、
「英文解釈」にもTOEIC用問題集がおすすめです。
また、
TOEIC Part7の「英文解釈」の具体的な方法として、
- 英文の内容を把握しながら音読する
- 音読し終わったところで、設問を解いてみる
- 答え合わせをして、どの程度、理解できていたかを確認する
- つぎに、音声にあわせて同じ問題を音読する
- その後、何回か、音声にあわせて音読する
- 慣れてきたら、少し速度をあげて音読する
- 最後に、#6と同じ速度で問題文を黙読する
を見てきました。
このうち、#6の「少し速度をあげて音読する」には、
問題集の音声を速度調整しながら聞けるアプリ[ abceed ]を使うと便利でしょう。
(つぎの2冊の音声は、[ abceed ]で無料で利用できます。)
TOEIC用問題集
一冊目は、
「公式TOEIC Listening & Reading 公式問題集」
こちらは、公式教材です。
TOEICテスト開発機関であるETSが実際と同じプロセスで問題を収録しています。
そのため、TOEIC公開テストと傾向が同じです。
また、リスニングの音声の一部は実際のテストと同じスピーカーが担当しているため、リスニング問題に慣れるのに最適です。
リーディングの問題にも音声ファイルがついています。
全問を通しで解く練習用としても、必ずおさえておきたい問題集です。
(「公式問題集」は何冊も発行されていますが、新形式採用以降のものはどれも有効です)
もう一冊は、TOEICの研究をし尽くした、
「[音声DL付]TOEIC(R) L&Rテスト 究極の模試600問+ 究極のゼミシリーズ」
本物そっくりの模試3セット・600問を収載。
リーディング問題にも音声ファイルがついています。
3模試すべて、公開テストのスコアが予想できる「換算点表」付き。
とても丁寧な解説がついているので、疑問を残さずにつぎに進めます。
英文読解力をつけるための問題集
なお、
TOEICの問題集に取りかかる前に、
- 英語の基礎力に不安がある
- 長文を読むこと自体に不安がある
という場合には、基礎力アップの一環として、
いったん日本語に置き換えて理解する「英文解釈」
に1,2ヵ月とり組んでから、TOEIC問題の、
精読+速読
の練習をすることをおすすめします。
先に、日本語に置き換える「英文解釈」に取り組むのは、そちらの方が簡単という意味ではありません。
基本的な英文構造を理解するには、日本語で考えた方がうまくいく場合が多いため。
この順番であれば、
さらに、いろいろなタイプの文章にとり組むことができて、
しっかり内容を理解できていないために答えられない
といった心配が少なくなると思います。
おすすめは、
「英文「超」精読――ほんとうの意味がわかる」
単語やフレーズといった断片ではなく、センテンスを基本単位とする英文解釈法。
問題演習を繰り返すことで、英文を理解する精度とスピードを高めることができる一冊です。
5.まとめ
いかがでしたか?
TOEICで英文解釈と言えば、
Part7の「長文読解問題」
しかし、
いったん日本語に置き換えて理解する方法
ではなく、
英文を英文のまま理解する
練習が効果的です。
この練習には、問題集を用意して、徹底的に取り組みましょう。
英語を日本語に置き換えることなく、文章を読みながら意味を取れるようになると、高得点もねらえますよ!