「TOEICのスコアと実際のコミュニケーション能力がなかなか比例しない」
TOEIC受験者を悩ませている事例のひとつでもあると聞きます。
では、真相はどうなのでしょうか?
半分は事実で、半分は事実ではないと個人的には思います。
しかし、そこには明確な理由がありました。
このページでは、その理由を解明しつつ、実践的な対処法を紹介します。
1.TOEICテストの意義
TOEICである程度以上のスコアをもっていると、採用や昇進に有利になる
そう言われていますよね。
日本では、「英語力」をはかるツールとしてTOEICが評価されています。
そのため、実際に多くの企業・団体が、
TOEICのスコアを採用や昇進のひとつの基準に
しています。
しかし、どういうわけか、
TOEICのスコアと期待する「コミュニケーション能力」が比例していない
そんな厳しい声も、ときどき聞かれます。
では、なぜ、そのような矛盾が起こるのでしょうか?
その原因を知って、対策しておけば、
期待に応えてくれる即戦力として評価される
ことは間違いありません!
では、TOEICテストの定義から順に見ていきましょう。
TOEICってどんなテスト?
そもそも、TOEICってどんなテスト?
「なんとなく漠然としたイメージはあるけど・・・」
そう答える人も多いTOEICテスト。
そこで、TOEIC L&R (Listening & Reading) について簡単にまとめました。
TOEIC L&Rの定義
TOEICテストを運営する iibc*は、TOEIC L&Rを、
「英語によるコミュニケーション能力」を幅広く測るテスト
と定義づけています。
[ *iibc:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 ]
TOEIC L&Rの対象者
さらに、 TOEICの対象者は、
身近なシーンからビジネスまで、幅広い場面でのコミュニケーション英語能力を身に付けたいひと
つまり、
TOEIC L&Rの前提
TOEICとは、スコアから、
英語による「コミュニケーション能力」と「ビジネス対応力」を判定
することを前提とした試験です。
ここからは、このうち、「コミュニケーション能力」について見ていきます。
2.企業が求める「コミュニケーション能力」とは?
企業が求める「コミュニケーション能力」とはどのようなものでしょうか?
2019年に興味深い調査結果が発表されているのでご紹介します。
企業・団体が考える重要なスキルと不足しているスキル
iibcが企業・団体が考えるスキルを、
- 重要なスキル
- 不足しているスキル
という2つのカテゴリーに分けて調査した結果です。
2018年11月~2019年2月実施の調査結果 (出典:iibc:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)
対象:2017年~2018年8月にTOEIC(公開またはIPテスト)を利用した2,442の企業・団体
カテゴリー別に、回答の上位5項目をグラフにしていますのでご覧ください。
今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキル
1つ目は、企業・団体が考える、
「今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキル」
順位は上から、
- 英語(力)
- コミュニケーションスキル(聞く、理解する、伝える)
- 問題解決力、実行力
- リーダーシップ、組織のマネジメント能力
- 論理的な思考能力
となっています。
この中で、「コミュニケーションスキル」は2位に入っています。
つぎは、企業・団体が考える「不足しているスキル」を見てみましょう。
社員や職員に不足している・今後強化する必要がある知識やスキル
2つ目は、企業・団体が考える、
「社員や職員に不足している・今後強化する必要がある知識やスキル」
順位は上から、
- 英語(力)
- リーダーシップ、組織のマネジメント能力
- 問題解決力、実行力
- 国際的なビジネス感覚
- コミュニケーションスキル(聞く、理解する、伝える)
「コミュニケーションスキル」は5位に入っています。
一方、
上の2つのグラフ、それぞれの順位を見ると、英語(力)が1位になっています。
さきほど、日本では、
「英語力」をはかるツールとしてTOEICが評価されている
と言いました。
つまり、
TOEICのスコア=「英語力」
として評価されていることになります。
では、「コミュニケーション能力」についてはどうでしょうか?
さきほどの2つの表では、
- 「今後、重要と思われる知識やスキル」 で2位。
- 「不足し、強化が必要な知識やスキル」 で5位。
この結果からは、
「コミュニケーションスキル」 は、そこまで不足していないスキル
と考えられていることになります。
しかし、ここで注意したいのが、「英語(力)」と「国際的なビジネス感覚」以外の項目。
- リーダーシップ、組織のマネジメント能力
- 問題解決力、実行力
- 論理的な思考能力
- コミュニケーション能力
いずれも「英語による」という但し書きはついていません。
つまり、
「英語によるコミュニケーション能力」
の評価は、この2つの表からは読み取れないことになります。
そこで、同じ調査のもう一つの質問から読み解いていきましょう。
企業・団体が求める「コミュニケーション能力」
企業・団体が求める「コミュニケーション能力」とは?
実は、さきほどと同じ調査に、
目標とする英語スキルの水準は?
という質問項目があります。
そこで、一番多かった回答が、
英語で行われる会議(テレカン*を含む)で議論できる
というもの。
*テレカン [ Telephone Conference:電話会議 ]、通称テレカンと呼ばれています。
つまり、言い換えると、
英語で十分に通用する「コミュニケーション能力」
ということになります。
では、
TOEICのスコアは「英語で十分に通用するコミュニケーション能力」と比例している?
そういった疑問がわいてきますよね。
つぎで見てみましょう。
3.TOEICのスコアは「コミュニケーション能力」と正比例?
ここでの疑問は、
TOEICのスコアは「英語によるコミュニケーション能力」と正比例?
はじめに、「英語によるコミュニケーション能力」の定義から確認していきましょう。
さきほどの調査結果から、企業・団体が求めているのは、
英語で行われる会議(テレカン*を含む)で議論できる「コミュニケーション能力」
であることがわかりました。
テレカンで議論
つまり、「会話」ということになりますね。
ここで、
TOEICのスコアとは?
TOEICのスコアという場合、一般には、L&Rテストのスコアを指します。
どういうことかと言うと、
たとえば、2019年のデータではつぎのような割合になっています。
【2019年度のTOEIC受験者数】
TOEIC総受験者数 | 2,406,500人 |
TOEIC L&Rの受験者数 | 2,205,000人 |
TOEIC S&Wの受験者数 | 37,800人 |
上の表から、受験者の大多数はTOEIC L&Rを受けていることがわかります。
つまり、実質的には、TOEIC L&Rがメインの
「英語によるコミュニケーション能力検定試験」
そうだとすれば、TOEIC L&Rで、
リスニングとリーディングから「コミュニケーション英語能力」を判定
していることになります。
しかし、
「テレカンで議論」できるコミュニケーション能力は、「会話力」
つまり、
TOEIC L&Rのスコアから「会話によるコミュニケーション能力」を測ることは困難
そこで、上の表に「TOEIC S&Wの受験者数」とありますが、
L&R (Listening & Reading) では測定できない部分を補うために、このテストが登場したという経緯があります。
S&Wはまさしく、
Speaking(話す)、Writing(書く)という2つの英語力を測定
するためのテスト。
TOEIC S&Wを受験すれば、「会話力」と「文章力」の証明が可能です。
(TOEIC S&Wについては、別のページで紹介する予定です)
TOEICの「スコア」と「会話力」の相関関係
では、
TOEIC L&R の「スコア」と「会話力」の相関関係
はないのでしょうか?
結論から言うと、
TOEIC L&Rの勉強だけでは、直接「会話力」には結び付かない
実際、TOEIC L&Rで高得点を取っていれば「会話」できるかと言えば、必ずしもそうではありません。
その理由は、
「会話」の練習をしていない
から。
しかし、
TOEIC L&Rで、ある程度のスコアを取る力があれば、
「会話」の素地がある
と言えると思います。
なぜなら、
TOEIC L&R は「コミュニケーションに必要な英語表現」の宝庫
コミュニケーションをとるための基本的な「英語表現力」はすでに身についているというわけです。
そのため、その力を「応用すれば」いいことになります。
とは言うものの、
「会話によるコミュニケーション」は、
会話をしている相手との双方向のやり取り
相手がどのように反応するかまでは、予測できません。
そこで、
「会話によるコミュニケーション能力」は「会話の練習」で身につけるしかない
ということになります。
4.期待される「コミュニケーション能力」を身につける
では、具体的に、
英語で行われる会議(テレカン*を含む)で議論できる
「コミュニケーション能力」についてはどうでしょうか?
さきほど、
「会話によるコミュニケーション能力」は「会話の練習」で身につける
と言いました。
なかでも、
テレカンで議論できる 「コミュニケーション能力」
は「ビジネスに相応しい英語表現を駆使して業務を遂行する、ビジネス対応力」とほぼ同義。
具体的には、欧米や環太平洋地域*のビジネス・パートナーと対等にやり取りできる「コミュニケーション能力」ということになります。
*環太平洋地域 [ 一般に Asia-Pacific Region ]:太平洋と辺縁に位置する国々や都市、島々を含む地域のこと(Wikipediaより)
そこで、TOEICで身につけた表現力を基本にしながらも、さまざまな経験が必要になるでしょう。
そのため、一朝一夕にはいきませんが、とにかく実践あるのみです。
具体的には、
実際の場面を想定して、英語で会話する
方法になります。
そこで、オンラインでビジネスに必要な会話の練習ができる2つのスクールをご紹介します。
1つ目は、
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講師は100%イギリス人ネイティブスピーカーです。
こちらも、日本人コンサルタントによる学習指導を受けられますが、レベルは中級以上の方向けです。
将来的に「テレカンで議論する」ために、
本格的な「コミュニケーション能力」を身につけたいという要望に応えてくれるスクールです。
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5.まとめ
いかがでしたか?
TOEICのスコアは「会話によるコミュニケーション能力」と正比例ではないものの、
ある程度のスコアを取る力があれば、
「会話」の素地がある
と言えます。
テレカンで議論できる 「コミュニケーション能力」
を目指して、
必要な「コミュニケーション能力」を「会話の実践」で身につけましょう!