TOEIC 800点を超えるメリットと達成するためのリスニング勉強法

TOEICテストで700点を達成したら、

次に目指したいのが、TOEIC 800点。

100点の違いですが、達成すると見える世界が変わってきます。

TOEIC 800点を達成するには、リスニングセクション全体で8割以上正解したいところ。

そこでこのページでは、TOEIC 800点を達成するためのリスニング・パート別対策についてくわしく解説します。

1.TOEIC 800点のレベルと達成すれば得られるメリット

はじめに、

  1. TOEIC 800点のレベルとは?
  2. TOEIC 800点に必要な勉強時間
  3. TOEIC 800点を達成すると得られるメリット

この3点について確認しておきましょう。

1つ目は、TOEIC 800点のレベルです。

1.TOEIC 800点のレベルとは?

TOEIC 800点のレベルとは、

中上級をすこし超えたレベル

です。

TOEIC 800点のレベルを確認するのに便利なのが、

『英語力検定試験の対照表(下表)』

この表のうち、

TOEICの欄にあるのが L(Listening)とR(Reading)のスコアです。

レベルTOEIC(L/R)CEFR*の分類英検
上級490 ~/ 455 ~C11級
中上級400 ~/ 385 ~B2準1級~1級
中級275 ~/ 275 ~B12級~準1級
初中級110 ~/ 115 ~A2準2級~2級
初級60 ~/ 60 ~A13級~準2級

TOEIC L&R テストスコアとCEFR*(ヨーロッパ言語共通参照枠)および英検の対照表
(この表について詳しくは、「TOEICの目標点に到達するための「文法」対策!参考書の選び方と厳選8選」をご覧ください。)

つまり、

この2つのスコアを足した、

合計がTOEIC L&Rテストのスコア

になります。

そこで、たとえば、

上の表から、

中上級のL/Rのスコアを足すと、
400 + 385 = 785 ~

800点はこのすこし上のスコアなので、

TOEIC 800点のレベルとは、

中上級をすこし超えたレベルということになります。

2.TOEIC 800点に必要な勉強時間

では、

TOEIC 800点を取るために必要な勉強時間はどれくらいでしょうか?

TOEICと言えば、

学習時間についてよく引用される研究論文があります。

この論文の学習時間のデータに基づいて作ったのが下表
(出典:Saegusa, Y. (1985) Prediction of English Proficiency Progress)

【現在の点数から目標点に到達するまでの時間】

目標の点数 →
現在の点数  ↓ 
450550650750850950
35022545070095012251550
4502254507009751300
5502254507251050
650225500825
750275600
850325

表の見方:縦に並ぶ数字が現在の点数、横に並ぶ数字が目標点です。 たとえば、現在の点数が650点で目標点が750点の場合、目標到達までに必要な時間は225時間になります。

この表では、

800点を目指す受験者の多くが、650点~750点の範囲に当てはまるのではないかと思います。

データによると、

TOEIC 650点の人が100点アップするための学習時間は225時間

TOEICは3ヵ月を1つの区切りにすると学習計画を立てやすいため、

225時間を3で割ると、1ヵ月あたりでは75時間

つまり、

これを1日あたりにすると、2.5時間になります。

そこで、たとえば、

現在のスコアが650点であれば、

1日平均2.5時間勉強すると、3ヵ月

でTOEIC 750点は達成可能です。

一方、

TOEIC 750 点の人が100点アップするための学習時間は275時間

750点から800点を目指す場合、ちょうどこの半分にあたるので、

275 x ½=137.5時間

たとえば、

750点から800点を達成するまでに2ヶ月かかるとすると、

137.5時間 を2で割って、1ヵ月あたりでは約69時間。

これを一日あたりにすると、2.3時間になります。

3.TOEIC 800点を達成すると得られるメリット

TOEIC 800点のレベルと必要な時間がわかったところで、

800点を取るとどんなメリットがあるのかを見てみましょう。

TOEIC 800点は社会でどう評価されている?

たとえば、

TOEIC 600点は、

「英語の基礎力の証明」として履歴書に記載できる

ことはよく知られています。

TOEIC 700点であれば、

「海外業務に近いレベル」として評価

されるでしょう。

では、

TOEIC800点が社会でどのように評価されているのか、気になるところですよね。

下の表は、TOEICテストを実施している iibc* の分類表です。

業務の種類担当者のTOEIC スコアの目安
国内基礎業務600~ 
海外出張業務730~
海外駐在業務860~

( *iibc:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)

このように、各業務に必要なスコアの目安をこれら3つのスコアで表しています。

この表から、TOEIC 800点は、

  • 「海外出張業務」は十分にこなせる
  • +60点で「海外赴任」も可能なレベル

ということになりますね。

じっさい、

TOEIC 800点台に到達すると、周りの評価がそれまでとはかなり違ってくる

と思います。

たとえば、運営者は、

TOEIC 820点の時にはじめて多国籍企業に転職しましたが、

このレベルでは、

「英語については特に不安がない」候補者

として扱ってもらえたことを覚えています。

つまり、TOEIC 800点台は、

英語を使用した業務を十分にこなせるレベル

として評価されるということです。

2.TOEIC 800点の勉強法

ここからは、

  • TOEIC 800点を達成するために必要な英語力
  • TOEICテストの内容から対策を考える

この2つについて解説します。

TOEIC 800点の達成に必要な英語力

TOEIC800点というと、ハイスコアと感じるかもしれません。

たしかに、さきほどのレベルでも

中上級をすこし超えたレベル

ということでしたね。

ここで、

TOEIC800点とは受験者全体ではどのくらいの位置につけているのか見てみましょう。

つぎの表は、iibc が発表している、TOEICテストのスコア分布です。

この中から、2022年3月20日 午後に実施されたTOEIC L&Rテストの結果を見ていきましょう。

(スコア区分)人数%
895~1,83996%
845~2,08591.5%
795~2,92585.2%
745~3,55177.5%
695~4,23168.4%
645~4,71158.2%
595~5,03447.4%

第291回(2022年3月20日 午後)実施 TOEIC® Listening & Reading Test

iibc:公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧

表の見方

(表は、公開テストスコア分布から、595点以上を取得した受験者の人数分布を抜粋。)

たとえば、一番上の895~の欄を見てみると、

895~|1839人|96% 

一番右側の96%は、スコアが895点以下の受験者数を表しています。

つまり、

TOEIC 895点以上の取得者は、上位 4%ということになります。

そこで、今度は、

TOEIC 795~の欄を見てみると、

795~|2925人|85.2%

TOEIC 795点以上の取得者は、上位 14.8%ということになりますね。

つまり、

受験者100人中、14~15人が795点以上を達成

していることになります。

800点になるともう少し人数が減ると思いますが、

そこまで高難度ということでもなさそうです。

これは少し感覚的なものになりますが、

自分自身の経験とTOEICコースを指導していた経験からも、

TOEIC800点前後までは、

TOEICのみの学習に絞って達成できるスコア

だと思います。

一方、これを超えるスコアを目指す場合には、

それ以外の要素が必要になってくるでしょう。

具体的には、

  • 英語そのものに対する慣れ
  • 英語に慣れることで養われる勘

この2つが必要になってくると思います。

(この点については、「TOEIC900点を目指すリスニング・リーディング」のページで詳しく解説します。)

TOEICテストの内容から対策を考える

テストの内容から対策を考えるときに注目したいのが、TOEICは、

リーディングにくらべて、リスニングの方がスコアを稼ぎやすい

ということ。

目標スコアが800点の場合、

リスニング・セクション全体では正解8割以上

できれば、リスニングで全体で430点前後取れれば、後半のリーディングで余裕ができると思います。

そこで、

つぎでは、具体的にリスニングの勉強法を見ていきましょう。

3.TOEIC 800点を達成するためのリスニング勉強法

TOEIC対策は、リスニングの勉強から始めると効率が良いため、

リスニングの勉強法をパート別にご紹介します。

TOEIC 800点を目指すリスニング勉強法

ここからは、

TOEIC 800点を目指すリスニング勉強法です。

リスニング・パート別の内容

まず、リスニングのパート別の内容を軽く振り返っておきましょう。

リスニングは Part1~Part4

それぞれの内容は次のとおり。

[ リスニング・セクション ]

PART問題の種類(設問の数)設問の内容
1写真描写問題(6問)問題に印刷されている写真の説明文として最もふさわしい解答を、放送される4つの英文から選ぶ問題
2応答問題(25問)聞こえてくる質問文(呼びかけ)に対して、最も適切な内容(応答)を3つの選択肢から選ぶ問題
3会話問題(39問:3問x13セット)2人または3人の会話を聞き、その内容について4つの選択肢から解答を選ぶ問題
4説明文問題(30問:3問x10セット)1人のスピーカーの話を聞いて、その内容について設問に答える問題

パートごとの内容を確認できたところで、つぎは、

それぞれのパートで何点取ると800点を達成できるかを見てみましょう。

TOEIC 800点を達成するためのリスニング目標正答数

下の表は、TOEIC 800点を達成するためのリスニング目標正答数です。

4つのパートで正解したい数はそれぞれ、

パート正解したい数問題数
Part16問 6問中
Part222~23問25問中
Part332~33問39問中
Part422~24問30問中

合計すると、正答数が 82問~ 86問になります

多少前後するかもしれませんが、この範囲で正答できれば、

リスニング・セクション全体では正解8割以上

を達成することができるでしょう。

4.TOEIC 800点を達成するためのリスニング・パート別対策

ここからは、

TOEIC 800点を達成するためのリスニング・パート別対策です。

TOEIC 800点のリスニング・パート別対策は、

TOEIC 700点を目指すパート別対策とほぼ共通です。

(詳しくは、TOEIC 700点を超えるメリットと達成するためのリスニング勉強法をご覧ください。)

800点を目指すときに、ひとつ異なるのは、

Part3とPart4では「先読み」が必須

ということ。

TOEIC700点では「先読み」は推奨でしたが、

800点では、

リスニング・セクション全体で82~86%正解する必要

があります。

そこで、

この「先読み」の方法をぜひマスターして、

全問くまなく回答することで、正解数を増やしていきましょう!

ここからは、Part3とPart4に分けて少し詳しく説明します。

「先読み」の手順とタイミング

具体的な「先読み」の手順とタイミングです。

まず、

Part3で「先読み」をするときの具体的なタイミングを確認します。

Part3で「先読み」するタイミングを確認する

はじめに、手順(流れ)を見てみましょう。

1)ディレクション(パートの説明)の放送が流れている間に「1つ目」の設問を読む。

このときに、「解答の選択肢」までは読まない(重要!)

2)ディレクションが終わると、

“Questions 〇〇 through 〇〇 refer to the following conversation.”

「何番から何番は、つぎの会話に関する問題です」

という放送が流れるので、完全に「会話」を聞く体勢を取って集中する。

3)「会話」の放送中は、設問の解答となりそうなヒントを探す。

4)「会話」が終了したら、1つ目の設問が読まれるので、解答する。

5)その後、2つ目の設問と解答 → 3つ目の設問と解答へと続く。

6)3つ目の解答が終わったら、次の問題の「1つ目」の設問を読む。

7)以降、同じように問題を解いていく。

この方法で問題を解いていき、少し慣れてきたら、

「会話」の放送が始まる前に読む設問の数を2つ、3つと増やしていく

特に、最初の問題はディレクションが流れている時間を利用して、

設問1から3までを見てみるとよいでしょう。

最終的には、すべての問題の3つの設問を「先読み」できるようになる

これが、「先読み」のゴールです。

つぎに、

ここからは、Part4で「先読み」をするときの具体的なタイミングを確認します。

Part4で「先読み」するタイミングを確認する

Part4の手順(流れ)です。

1)ディレクション(パートの説明)の放送が流れている間に「1つ目」の設問を読む。

このときに、「解答の選択肢」までは読まない(重要!)

2)ディレクションが終わると、

“Questions 〇〇 through 〇〇 refer to the following xxxxx.”

「何番から何番は、つぎのxxxxxに関する問題です」

という放送が流れるので、「説明トーク」を聞く体勢を取る。

[ ポイント!]

xxxxxの部分は、

「advertisement:広告」

「excerpt from a meeting:会議からの抜粋」など、これから始まる「説明トーク」の内容です。

放送は大きなヒントになるので、聞き逃さないようにする

3)「説明トーク」の放送中は、設問の解答となりそうなヒントを探す。

4)「トーク」が終了したら、1つ目の設問が読まれるので、解答する。

5)その後、2つ目の設問と解答 → 3つ目の設問と解答へと続く。

6)なるべく3つの解答を早めに済ませて、次の問題の「1つ目」の設問を読む。

7)以降、同じように問題を解いていく。

このように、Part3と流れはほぼ一緒です。

最終的には、すべての問題の3つの設問を「先読み」できるようになる

Part4でも、これが「先読み」のゴールになります。

(「先読み」について、さらに詳しくはこちら。)

リスニングの効果的なトレーニング法

リスニングには効果的なトレーニング法がいくつかあります。

中でも、「シャドーイング」は、

  • 即効性があり
  • 発音の矯正にもつながる

ことからおすすめです。

「音読」と「シャドーイング」

ところで、

「音読」と「シャドーイング」

この2つ、よく似ていますが発話するタイミングが異なります

たとえば、

TOEIC 700点のリスニングページの、

リスニング・パート別の特徴と勉強法

では、「音読」を推奨しています。

TOEIC 700点以上では、全問答える

ことが基本対策。

さらに、

800点を目指すときは、聞き取りの精度を上げる

ことが重要です。

また、

聞き取りには、英語の「音の変化」に慣れておく

必要があります。

そこで、

英語の「音の変化」を捉えるために

「音読」はとても良いトレーニングになります。

そのため、音読だけでも十分練習になるのですが、

800点を目指す段階では、「シャドーイング*」をぜひ取り入れてみてください。

*シャドーイングとは、聞こえてきた音声の後を追って復唱するトレーニング

「音読」との違いは、

聞こえてきた音声からすこしずらしながら復唱するため、

  • 正確に聞き取らないと追いつけない
  • 一時的に当該箇所を記憶(リテンション)する必要がある

こと。

「シャドーイング」は元々は通訳訓練法の一つです。

通常、ニュースやスピーチを題材にして練習しますが、

TOEICの問題(特にPart3やPart4)とは相性が良いと思います。

*シャドーイングの効果は、「リスニング力」「瞬発力」「発音強化」など。

「シャドーイング」の具体的なやり方

では、「シャドーイング」の具体的なやり方です。

  1. TOEICの問題集の中から適当な長さの問題を選ぶ
  2. 問題の英文を見ながら、音声を聞く
  3. 今度は英文を見ずに、音声を聞く

#2と#3で、

少しだけずらして音声についていくように口で言ってみる

慣れてきたら、2番目の、

「英文を見ながら、音声を聞く」を省略

してみてください。

この場合、

文字に頼らず「音」だけを聞き取る

ことになるため、

正確に聞き取るためのリスニングの練習として最適です。

5.TOEIC 800点突破のためのリスニングおすすめ教材

TOEIC 800点を突破するには、

700点を目指したときの勉強をさらに強化すると効果的。

そのため、

おすすめの教材は、700点を目指したときと共通です。

「【音声DL付】TOEIC(R) L & R テスト 究極のゼミ Part 2 & 1」

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TOEIC公開テストと傾向が同じ。

リスニングの音声の一部は実際のテストと同じスピーカーが担当しています。

TOEICテストを疑似体験するのに最適です。

(「公式問題集」は何冊も発行されていますが、新形式採用以降のものはどれも有効です)

6.まとめ

いかがでしたか?

このページでは、

  • TOEIC 800点のレベルとメリット
  • TOEIC 800点を達成するためのリスニング勉強法

を中心にご紹介しました。

TOEIC 800点を攻略するには、

「先読み」は必須

また、

「シャドーイング」と呼ばれるトレーニングを追加すると効果的

です。

正確に聞き取るリスニングの練習に最適なため、テスト本番でも力強い味方になってくれますよ!